女優の草笛光子さんが1月、日本経済新聞朝刊に「私の履歴書」を連載中。19日付のサブタイトルは「市川崑監督」で、草笛さんが全作出演した“横溝正史シリーズ”について書いている。角川映画第1作目でもある「犬神家の一族」(1976年)では、三女・梅子役。『死を間近にした佐兵衛に扮した三国連太郎さんが布団に横たわっていた』場面で『撮影が始まろうとしているのだけれど、市川監督から声がかからない』でその日の撮影は中止に。奥座敷の金襖(ふすま)の色がよくないからだった。
3作目「獄門島」(77年)は旅回りの女座長役。疎開先で見た旅回り一座の芝居を思い出し、女の役者が見えを切ったとき、口元が光った。『そうだ、金歯を入れたら、きらっと光っていいかもしれない。思い切って市川監督に提案してみた。監督は「いいよ、やってごらん」と言ってくださった』と書き、歯医者で金歯を入れ撮影に臨み『光る金歯がよく映った』。また再映画化した「犬神家の一族」(2006年)にも出演。この時、市川監督は「今まで汚い役ばかりで悪かったね」と謝ったと結んでいる。
草笛光子と市川崑監督
