コラム|小津安二郎監督の命日

12月12日は小津安二郎監督の命日である。亡くなったのは1963年(昭和38年)だから、今年は没後54年ということになる。命日なのだが、誕生日でもある。きっちり屋の吉兵衛さんでその日が満60歳だった。デビュー作の「懺悔の刃」から遺作となった「秋刀魚の味」まで松竹蒲田・大船撮影所がホームグラウンドだったが戦後、50年に新東宝で「宗方姉妹」(きょうだいと読む)、61年には東宝系の宝塚映画で「小早川家の秋」(こはやがわと読む)を撮っている。そして現在絶賛上映中なのが『大映女優祭』の一本「浮草」(59年)がある。小津監督といえば、原節子が浮かぶほど印象的な役柄で画面を彩ってきたが東宝専属で、この映画には出ていない。かわって京マチ子、若尾文子、野添ひとみら大映女優陣、男優も二代目中村鴈治郎、川口浩ら。そして、なんといっても宮川一夫キャメラマンと“一期一会”の顔合わせが実現。小津監督らしいローアングルはあるものの、珍しい俯瞰ショットがいくつもあり、夏の風物詩・ラムネの瓶や鮮やかな青空など宮川キャメラマンらしい画面がある。今回の上映は「4Kデジタル復元版」で、さらにきれいである。