成澤昌茂監督の脚本術

7月30日まで、シネマヴェーラ渋谷(内藤由美子支配人)で、本年2月亡くなった名脚本家の成澤昌茂監督追悼特集「成澤昌茂 映画渡世」を上映中。昨年末亡くなった梅宮辰夫が「最も好きな映画」と言った67年の東映東京「花札渡世」(監督・脚本)は任侠映画の傑作。辰兄はもちろん、相手役の鰐淵晴子もいいし、脇を固める城野ゆき(東映唯一のウルトラシリーズ「宇宙特撮シリーズ キャプテンウルトラ」ヒロインだ!)、小林千登勢も好助演、伴淳三郎、遠藤辰雄、安部徹と鉄壁の配役。花札賭博に命をかける世界をある時はスタイリッシュに、ある時は情感たっぷりにモノクロ・シネマスコープの世界に凝縮している。飯村雅彦キャメラマンの撮影、渡辺岳夫音楽も絶品。東映チャンネルでも放送中。
24日には、落語家の快楽亭ブラックが成澤脚本の傑作「関の彌太ッぺ」(監督山下耕作)上映後に講演し、生前の交友を語った。成澤監督の師匠、溝口健二監督はよい脚本を書くための四か条を伝授したことを披露。「一、歌舞伎を見なさい。一、新派を見なさい。一、落語を聞きなさい。一、宗教音楽を聴きなさい」と紹介。各条項の説明に大変感銘した。同館は日本映画・外国映画名作を35㍉フィルムやデジタル上映。若い世代からシニア世代まで映画ファンを大事にしている名画座だ。