『今日の話題』特別版|『寺田瀧雄 没後20年 メモリアルコンサート All His Dreams“愛”』7月1日17時開演「柴田侑宏バージョン」2日12時開演「植田紳爾バージョン」を見て

㈲合同通信社 代表取締役社長 小西均
名曲は歌い継がれて――。東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで開かれたコンサートのフィナーレで、座長格のひとり、鳳蘭がコロナ禍を反映して「みなさん、返事は拍手でおねがいします。青春時代に戻りましたか?」と客席に呼びかけると、この日一番の拍手が会場に響いた。宝塚歌劇団107周年のほぼ真ん中にあたる1974年の大ヒット作「ベルサイユのばら」初演から2000年「凱旋門」まで、数々の歌劇やレビュー・ショー作品の主題歌など3000曲を作曲、編曲、指揮までこなした「宝塚のモーツァルト」寺田瀧雄(1931-2000)の没後20年を記念したメモリアルコンサート。コロナ禍で1年延期された。
第一部は、内海重典、鴨川清作、酒井澄夫、草野旦、三木章雄らショー作家の主題歌を初演で演じた鳳はじめ、榛名由梨、安奈淳、汀夏子の「ベルばら四強」に、瀬戸内美八、平みち、杜けあき、涼風真世、麻路さき、白城あやか、朝海ひかるたちが歌い踊る。第二部は、現在も再演され続ける名作を生んだ柴田侑宏と植田紳爾作品集。初演のスターに当て書きされた人たちが歌い演じた。半世紀の時空を超え、感動した。
筆者は、寺田氏から「最後の飲み友だち」と呼んでもらった。ある日突然、携帯電話が鳴る。『寺田やけど、大阪にいるんやったら、寺田町で飲もか?』とかけてくるのが常だった。帰りは行きつけの寿司屋に寄り、奥様におみやげを握ってもらっていた。
さらに筆者は100周年の2014年「柴田侑宏トークショー~宝塚ミュージカル・ロマンの世界~」を旧宝塚音楽学校講堂でプロデュース。初めて舞台の構成・演出を手がけた。
柴田先生(映画監督松尾昭典監督の実弟)を招き、ゲストに元花組娘役トップ森奈みはるさんに寺田メロディーを歌ってもらった。音楽監修・ピアノ演奏は今回、音楽監督・指揮を担当した寺田さんの愛弟子・吉田優子さん。
思い出話をふたつ。酒井澄夫さん作詞の名曲「セ・マニフィーク」の『♪ティプタプティプタプ』って何の意味ですか? と聞いた。返事は酒井さんで「時計のチクタクや!」には腰を抜かしそうに。もうひとつは寺田さんからの直話。「夜明けの序曲」最初「♪広い世界の…」につづいてシンセサイザーが『ピロリ~』という音を出す。何ですか、と聞けば「口笛や!」。こちらもびっくり。
まことにたのしい東京公演の二日間だった。
※大阪公演は6月26日-27日、梅田芸術劇場。
・監修植田紳爾、構成・演出三木章雄、音楽・指揮吉田優子、振付御織ゆみ乃。
・主催梅田芸術劇場、タカラヅカ・ライブ・ネクスト。協力宝塚歌劇団。

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