コラム|東映任侠映画

遅れてきた東映任侠映画ファンだった――。学生時代に、東大阪市の布施東映リオン座(現在の布施ラインシネマ)で、「博奕打ち いのち札」(監督山下耕作、脚本笠原和夫、撮影吉田貞次、音楽木下忠司)を見たのが、1971年(昭和46年)2月だった。鶴田浩二と安田(現大楠)道代の恋愛映画でクライマックスの殴り込みでは一面血の海に早変わりするなど強烈な印象を与えてもらった。それからは名画座巡りがはじまった。
山下監督からうかがった話。あの三島由紀夫が絶賛した68年(同43年)「博奕打ち 総長賭博」(脚本笠原和夫、撮影山岸長樹、音楽津島利章)は鶴田が若山富三郎扮する義兄弟、藤(現富司)純子が妻であり若山の妹という設定で義理と人情の板ばさみで殴り込む。東映京都撮影所での評判もよく鼻高々と闊歩していた山下監督だったが、岡田茂撮影所長(のち社長・会長)は「ショーグン(山下監督のこと)芸術映画を撮った気ィか! 客入ってへんど!!」と広島弁でどやされたそうだ。山下監督は時代劇では「関の彌太っぺ」、実録映画でも「山口組外伝 九州進攻作戦」など傑作を残した。