コラム|伊福部昭の音楽

11月12日地上波初放送された東宝「シン・ゴジラ」(総監督庵野秀明)の“余韻”が続いている――。自衛隊がゴジラを攻撃する場面などで勇壮な伊福部昭作曲のマーチが流れた。愛好家の間では「伊福部節」と呼ばれている。06年亡くなられた伊福部氏は『マーチではなくアレグロなんです』と説明していただいた記憶がよみがえった。
放送前に行われた「ゴジラ総選挙」で対決した怪獣の第一位に選ばれたモスラがゴジラと初対決した「モスラ対ゴジラ」(64年製作。監督本多猪四郎・特技監督円谷英二)などで使われた映画音楽が「シン・ゴジラ」の中で東京を蹂躙(じゅうりん)する場面に流れると、画面にピタリとハマって、その迫力はテレビ画面が映画館の大画面と見間違えるほどだった。
30年前にもなるだろうか、東京・世田谷区尾山台の伊福部邸を訪ね、ゴジラのテーマをピアノで弾く姿を間近で見て聴いたことを思い出した。「♬ドシラ・ドシラ・ドシラソラシドシラ…」。第30回東京国際映画祭特別企画「ゴジラ・シネマ・コンサート」で指揮をした愛弟子和田薫氏によると、伊福部邸も今はなく、ピアノだけは別の場所で保存されているという。不滅の映画音楽は、これからも「ゴジラ映画」が 作られるたびにかかることだろう。