今年は松竹映画100周年。蒲田、大船の両撮影所で活躍した名匠、小津安二郎監督の遺作『秋刀魚の味』(昭和37年・1962)を週末、ブルーレイで再見した。いつもの父親と娘の結婚話を縦軸に兄夫婦、弟を絡ませ、旧友3人組や行きつけの小料理屋、とんかつ屋、トリスバー(懐かしい!)も登場。遺作は旧制中学の恩師とその娘がアクセントとなり、「老い」があちこちにあらわれ、笠智衆扮する父親が娘の結婚式の夜に「うーん、ひとりぼっちかぁ」とつぶやいて、映画は終わる。
笠はじめ、娘に岩下志麻を配し、カラーになり、ほとんどの作品に顔を出している佐田啓二(中井貴惠・貴一姉弟の父親)、岡田茉莉子、三上真一郎、中村伸郎、北竜二、高橋とよ、岸田今日子、環三千世、牧紀子、三宅邦子、須賀不二男、吉田輝雄、加東大介、東野英治郎、杉村春子と書けば、夢みたいなオールスター映画。製作山内静夫、脚本は野田高梧と小津監督、撮影厚田雄春(アグファ松竹カラー)、音楽斎藤高順。若き日に、浴びるほど見た映画の1本。当時はただ身体を通りすぎていっただけ。テーマの「老い」には、まだ早いと思いつつ主人公の父親と同い年になっております。2013年のデジタル修復版。松竹からブルーレイが発売中。定価は4700円+税。
「秋刀魚の味」BDで再見
