生誕90年武満徹の映画音楽

10月11日午後9時から、NHK・Eテレ「クラシック音楽館」で『生誕90年の武満徹』と題して特集。その魅力を武満本人の肉声と弟子で作曲家の池辺晋一郎ら5人のインタビューから武満徹の音楽世界」を探り、多面的に掘り下げていた。映画音楽はコンビ作が多かった小林正樹監督の琵琶を多用した「切腹」を紹介。さる9月には京都文化博物館で「武満徹の映画音楽世界」特集上映があった。
映画音楽家としての顔は、1956年(昭和31年)日活で、「太陽の季節」姉妹篇の「狂った果実」(監督中平康)を佐藤勝と共作でデビュー。早坂文雄の弟子同士という関係から「『七人の侍』で一緒に編曲した仲間。映画音楽の仕事が重なり、主題歌は私が書き、映画音楽は武満に担当してもらった」(生前、佐藤氏から直接筆者が聞いた)。以来、松竹、東宝や独立プロで小林正樹、大島渚、篠田正浩や黒澤明、今村昌平ら名匠、巨匠とのコンビが名高い。小林監督の「東京裁判」(83)は今年も上映された。指揮は苦手で、映画では佐藤や林光、芥川也寸志らに依頼。現代音楽では、オーケストラに尺八と琵琶という邦楽器を取り入れた「ノヴェンバー・スッテップス」で一躍世界の名声を得て、ハリウッドに招かれ、フィリップ・カウフマン監督の「ライジング・サン」(93)も作曲した。96年死去。