映画ファン、黒澤明監督ファン待望の「七人の侍 ロケ地の謎を探る」がアルファベータブックスから刊行された。著者は、東宝映画研究家として数々の著書がある高田雅彦氏。1954年(昭和29年)東宝製作・配給「七人の侍」(上映時間3時間27分)を数え切れないくらい鑑賞、東宝所有のスチール写真やスナップ写真を穴のあくほど見て、これまでわからなかったロケ地を解明した労作。
巻頭の宣伝材料ギャラリーから驚きの連続で、当時の宣伝部が作り、劇場で映画ファンの心をつかんだと思われる「東宝写真ニュース」三枚はこれまで見たことのなった貴重なもの。場面写真や黒澤監督が演技指導しているスナップなどが写っている。ロケ地マップや序章「『七人の侍』という映画」から、第七章「クランクインとクランクアップの撮影現場は、意外なところに……」、最終章「『七人の侍』は成城メイドの映画」まで、高田氏が実際足を運んで書いたもの。また、さきごろ亡くなった出演俳優の加藤茂雄さんと女優二木てるみさんのインタビューは読んで楽しい。二木さん出演の発見は本書がはじめて。さらに豊富な場面写真と撮影現場のスナップ写真は最新のデジタル処理で、まるできのう撮ったと思われるほど美しい。発掘資料は寺島映画資料文庫所蔵。必読! 2500円+税。
「七人の侍ロケ地の謎を探る」刊行
