松竹映画100周年の本年、生誕101年を記念して野村芳太郎監督の「砂の器」はじめ、初の全映画作品発言集『映画の匠 野村芳太郎』(野村芳太郎著、小林淳/ワイズ出版編集部・編、野村芳樹・監修)がさきごろ、ワイズ出版(岡田博社長)から刊行された。503ページの力作。3600円+税。
カバー表のカラー写真は代表作の一本「五瓣の椿」、裏が「張込み」でカバーを取れば表紙に「伊豆の踊子」「鬼畜」など監督作品のタイトルロゴが踊っている。本を開くと、山田洋次監督の「野村さん、わが師」からはじまり、映画関連著述家の小林淳さんが「足跡とその作品」、野村監督が「全作品を語る」と「語録」はエッセイ・インタビュー・対談や座談が並ぶ。岩下志麻さん、大竹しのぶさんら関係者の証言も楽しい。フィルモグラフィーは監督作品はじめ、製作者としての野村芳太郎監督の足跡が確認できる。
筆者は、1970年(昭和45年)の「影の車」から封切りで見た。「砂の器」(74)はもちろん、プロデューサーとして参加した「人生劇場」「花と龍」「宮本武蔵」「八甲田山」など大作に野村監督の手腕を見た。もちろん、プログラムピクチャーをこなした演出術にも敬服。なにより山田洋次監督を育てたのは最大の功績だろう。
ワイズ「映画の匠 野村芳太郎」刊行
