女優でエッセイストの岸惠子さんが、日本経済新聞の人気企画「私の履歴書」に登場。5月1日からはじまり、早くも話題になっている。8日付の第7回は『大船撮影所』で、「映画の不思議に魅せられて」「学校にも親にも内緒で見学」の見出しが並び、松竹大船撮影所正門の写真も掲載されている。
女学校時代の同級生に、のちに女優となる小園蓉子さんがおり、ある日誘われて有楽町を歩いていると「映画館に掲げられた1枚の写真を見てギョッと立ちすくんだ」。それはジャン・コクトー監督の仏映画「美女と野獣」(46年・日本公開48年)のスチール写真だった。鑑賞後「私の一生を大きく変えることになる。白黒の映像は美しく、『映画』という不思議に魅せられた」と綴っている。その後、岸さんは小園さんに誘われるまま、松竹大船撮影所の門をくぐり、自身の言葉通り、人生を大きく変えることになる。
岸さんは、このあと、鶴田浩二さんと共演・新東宝「弥太郎笠前後篇」「ハワイの夜」や佐田啓二さんと共演した松竹「君の名は」(同名アニメではない、原作菊田一夫)、小津安二郎監督の「早春」、東宝「雪国」などに出演後、イブ・シャンピ監督と結婚のため渡仏。一時帰国後も松竹「約束」、東宝「悪魔の手毬唄」など女優業に復帰。著作もある。
岸惠子 日経「私の履歴書」
