「シン・ゴジラ」に新型コロナを見た

連日、新型コロナウイルスのニュースで新聞、テレビやスマホでチェック。当初、SNSの世界で「26~27度のお湯を飲めばかからない」など21世紀の現代に流言飛語があったのかと背筋が寒くなった。ここ数日の通勤電車はガラガラ状態で、政府や東京都の8割削減が効いてきたと実感。一方、首相や官房長官の記者会見が通常の放送を遮(さえぎ)ってはじまるテレビを見ていて、東宝「シン・ゴジラ」の一場面を見ているような錯覚を覚えた。
故大杉漣さん扮する首相の台詞は「わかった」「本当なのか!」と言うばかり。官房長官の記者会見の最中に、次から次へと飛び込む新情報に政府中枢は右往左往の連続。何か新しいことを実行しようとすると、新たに法律を作る官邸スタッフ寝ずの番で首相を支える画面は、姿の見えない新型コロナウイルスをゴジラの姿に置き換えると、このことを予言していたのかと製作陣と庵野秀明総監督の慧眼(けいがん=将来を見通す)に驚く。映画ではヤマタノオロチ退治に使われた酒の名前を冠した「ヤシオリ作戦」でゴジラ冷凍化して終わったが、現実の世界ではまだまだ先が見えず、ノーベル賞の山中伸弥京大教授が「最低一年は我慢を」の発言に、一年後の映画などエンタテインメント世界が見通せない現実に暗い思いをするのは筆者だけではない。