令和初の「まねき書き・上げ」

現在、歌舞伎座は11月公演「吉例顔見世大歌舞伎」を上演中(25日まで)。一年に一度、屋根の上に櫓が上がる。かつてはこの月を「芝居国の正月」といわれ、劇場の向こう一年間の座組を披露する興行として盛大に行われ、以来古式ゆかしく開催されてきたもの。
そして、30日からは京の年中行事といわれる冬の風物詩となっている京都・四條南座で「當る子歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」の初日を迎える。今年は、新開場一周年記念。片岡仁左衛門が昼夜「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」と近松門左衛門作「堀川波の鼓」で大星由良之助、小倉彦九郎を演じる。人気の片岡愛之助は昼の部は近松作「信州川中島合戦 輝虎配膳」でタイトルロールの長尾輝虎と「祇園祭礼信仰記 金閣寺」十河軍平実は佐藤正清、夜は河竹黙阿弥作「釣女」で太郎冠者。「新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎」は中村芝翫ほかを上演。12月26日まで。
さらに、京の年中行事らしい勘亭流の「まねき書き」と25日の「まねき上げ」は、歌舞伎ファンならずとも一度は見てみたいおなじみの光景。書家の井上玉清さんは令和初のまねき書きについて「いつもと特に変わりませんが、先代から書きつなげてきたという責任感、これからも南座のまねきをずっと伝統として守りたい一心です」と語っていた。