手元に「映画監督 舛田利雄~アクション映画の巨匠 舛田利雄のすべて~」(シンコー・ミュージック刊)がある。戦後映画全盛期に日活で石原裕次郎主演「錆びたナイフ」「赤い波止場」「赤いハンカチ」や小林旭主演「女を忘れろ」「やくざの詩」「太陽、海を染めるとき」、高橋英樹主演「日本任侠伝 血祭り喧嘩状」、渡哲也主演「紅の流れ星」「『無頼』より 大幹部」、フリー後は松竹で渡主演で「さらば掟」(未ソフト化)、「剣と花」などあらゆるジャンルの映画を網羅した豪華本。
53本目はハリウッド大作で20世紀FOX「トラ・トラ・トラ!」(70)。日本側の黒澤明監督が降板し、舛田監督に白羽の矢が立ち、時間的制約もあり深作欣二監督が真珠湾攻撃隊のコックピットを演出、それ以外の場面はすべて舛田演出。まだまだ謎の多い映画ではあるのだが、黒澤、深作両監督死して舛田監督に聞きたいことがあったのだが、この分厚い本で少しだが、秘密がわかった。日本側の脚本は菊島隆三と小国英雄のベテラン脚本家の名前があるが「一切手は入れていない」と舛田監督は証言。当然黒澤監督も加わっていた脚本。FOXとの約束で黒澤監督の名前は外されていたのだった。アメリカ側が撮った実写版の真珠湾攻撃場面はライブラリーとしてハリウッド・日本映画で重宝されている。
舛田監督の「トラ・トラ・トラ!」
