新版「伊福部昭の映画音楽」

映画関係書籍の老舗「ワイズ出版」(岡田博社長。東京都新宿区)が、「ワイズ出版映画文庫」最新刊として小林淳著『新版 伊福部昭の映画音楽』を出した。大きな書店だと映画本コーナーに並んでいる。686ページは文庫本としてはかなりぶ厚い。1998年に刊行された同名本を再編集し、さらに改稿し文庫化。文庫化にあたり、付章を追加、写真も変更された。映画音楽は東宝「ゴジラVSデストロイア」(95)が最終作だったが、東宝「シン・ゴジラ」(16)で旧作の音楽がそのまま使われていたことも付章でふれている。ファンにはうれしいところ。1500円+税。
「はじめに」「序章」から「第十二章」と「付章」「あとがき」まで一気に読んでしまう。「伊福部昭 創作品リスト」は貴重。映画音楽はもちろん、純音楽、声楽、舞踊音楽、舞台音楽まで網羅されおり、この一冊で、伊福部先生の全仕事がわかる。筆者は「ゴジラ」シリーズで映画に目覚めた。伊福部先生の謦咳に接して尊敬から畏敬となった。一度だけお礼を言ってもらった。91年、映像ハヌルのドキュメンタリー映画「土俗の乱声」(監督前田憲二。DVD発売中)のサントラ盤をプロデュースできたこと。03年、文化功労者顕彰。06年逝去。もうあとすこし長生きして文化勲章を受章していただきたかった。