宝塚歌劇団元理事で作・演出家の柴田侑宏氏が19日亡くなった。87歳だった。映画監督の故松尾昭典監督は実兄。22日葬儀が兵庫県西宮市のエテルノ西宮で執り行われ、歌劇団関係者はじめ、生徒らが手を合わせた。最後のオリジナル脚本作品としては2015年の星組「黒豹の如く」。昨年はかつて映画化された雪組「凱旋門」が18年ぶりに再演され、柴田氏の脚色に称賛の声が上がった。この作品はコンビの作曲家寺田瀧雄氏の遺作だった。
宝塚歌劇団創立100周年の2014年のことだった。まだ寒い2月、宝塚ホテルで柴田氏と会っていた。これまでの作品を振り返ってもらう目的だった。筆者がリアルタイムで最初に柴田作品を見たのは、92年の旧宝塚大劇場最終公演・雪組「忠臣蔵~花に散り雪に散り~」。それまで「バレンシアの熱い花」「哀しみのコルドバ」「あかねさす紫の花」「新源氏物語」など名作といわれる名舞台を手がけている。この出会いが、100周年を記念して「柴田侑宏トークショー ミュージカル・ロマンの世界」(宝塚文化創造館)をプロデュースするきっかけになった。特別ゲストに元花組娘役トップ森奈みはるさんを招き開いた。開演前、たくさんのファンが集まっているのを報告すると、緊張していた柴田氏の顔がほころび、こちらもうれしくなった。
宝塚名演出家、柴田侑宏氏死去
