CS放送の日本映画専門チャンネルは、7月から3ヶ月連続企画「戦艦大和、その栄光と悲劇」を放送中。中心的作品の東宝「連合艦隊〈劇場公開版〉」(1981年)を15日久しぶりに見た。まぎれもない名作だった。太平洋戦争開戦時、連合艦隊の機動部隊がハワイ真珠湾を攻撃。大戦果をあげたが、空母群はいなかった。ミッドウェイ海戦からレイテ沖海戦、戦艦大和の沖縄特攻までを描く。連合艦隊司令長官山本五十六に小林桂樹。山本は中盤で戦死。物語は戦争に巻き込まれる本郷家と小田切家が丹念に描写され、やがて財津一郎扮する下士官の小田切大和工作科分隊班長が陰の主役とわかる。息子役の特攻隊員に、これがデビュー作の中井貴一(若い!)。製作は田中友幸(ゴジラ)。監督は「太平洋の嵐」「太平洋の翼」(8月放送。必見!)の松林宗恵監督。中野昭慶特技監督とコンビを組み、巨大戦艦大和がまるで人間のようにいろんな表情を見せる。戦争後半、陸軍の作戦もひどかったが、海軍もレイテ沖海戦での後手にまわった指揮ぶりはため息が出る。打った無電が届かず、発信不明の無電が混乱に拍車をかける。松林監督はそんな場面を冷静に演出。おとり作戦で米海軍主力を北へ引き上げたにもかかわらず、徒労に終わる場面も同じ。見る側にゆだねる。もう一度みたい一本である。
日本映画専門ch「連合艦隊」
