作家の田辺聖子さん死去

大の宝塚歌劇ファンとして知られた作家の田辺聖子さんが6月6日、総胆管結石で亡くなった。91歳だった。通夜と密葬は親族のみで済ませた。喪主は弟の田辺聰(あきら)さん。後日、大阪と東京で「お別れの会」を開く予定。
田辺さん、司馬遼太郎さん、陳舜臣さんは筆者の好きな作家たち。いずれも鬼籍に入られた。みんな映画の世界や宝塚歌劇など演劇の世界にも造詣深かった。田辺さんの宝塚歌劇好きはファンの間でも有名だった。田辺さん原作の舞台をリアルタイムで観劇したのは15年に再演された明日海りお主演の花組公演「新・源氏物語」(脚本柴田侑宏、演出大野拓史)。81年と89年は月組公演で、光源氏を榛名由梨と剣幸が演じた。再々演は明日海。一本立てからレビューがついた二本立てとなり、光源氏の女性遍歴が駆け足にならなければと思ったが、杞憂に終わった。ベテラン演出家柴田氏は、日活で石原裕次郎主演「二人の世界」や高橋英樹主演「男の紋章」で有名な松尾昭典監督の実弟。場面転換を暗転なしのレビュー形式でつなぎ、素晴らしかった。主題歌作曲はコンビの“宝塚のモーツァルト”寺田瀧雄氏。寺田氏はすでに故人だったが、コンビ復活はうれしかった。田辺先生にはもっと宝塚向きの小説を書いてほしかった。