朝日新聞5月14日付夕刊社会総合面で、待ちに待った22年ぶりの新作、松竹配給「男はつらいよ お帰り 寅さん」(監督山田洋次) の公開を控え、シリーズ全49作の4Kデジタル修復版の作業が最高潮を迎えている記事を興味深く読んだ。昨年の初秋、新宿ピカデリーで開かれた「男はつらいよ」50周年プロジェクト始動の記者発表には多数の報道陣に加え、これまで寅さん映画に参加したスタッフが来られ、旧交を温め合う光景は微笑ましかった。まさに“大船調”だった。
さて、修復は松竹メディア事業部、松竹映像センターとIMAGICA Lab.を中心に行われており、新作「お帰り 寅さん」では撮影監督の近森眞史さんが中心となった。近森さんは第29作「寅次郎あじさいの恋」から参加、高羽哲夫キャメラマンの助手を務めた。紙面によると、近森さんは封切り当時の映像を再現することを心がけて、人物の顔の明るさと肌の色にこだわったという。昭和44年8月公開の第1作から第49作まで上映時間の総合計は83時間を超え、1秒24コマのフィルムだと720万コマに及ぶ。デジタル化といえば、すべて機械がやってくれるとはいかず、修復作業にかかった人数や時間は膨大なもの。今年後半からは東京と大阪で順次公開され、来年以降も公開がつづく予定。
「男はつらいよ」シリーズ4K修復中
