日本経済新聞の人気連載企画「私の履歴書」。5月は、脚本家の橋田壽賀子さん(93歳)。松竹大船撮影所脚本養成所出身。TBS/MBS系の長寿人気テレビドラマ「渡る世間は鬼ばかり」(最近は毎年一回のスペシャル枠で放送)はじめ、NHK「おしん」など日本人なら誰でも知っているドラマは橋田さんの手になるもの。筆者が歴史好きになったのも橋田さん作のNHK大河ドラマ「おんな太閤記」を見てから。海音寺潮五郎、山本周五郎、司馬遼太郎の史伝や歴史小説を読みまくった。
橋田さんは平成4年に亡き夫の遺産を基に「橋田文化財団」を設立し若手脚本家を育てるなどの「橋田賞」を創設。同27年には脚本家としては初の文化功労者顕彰に選出された大ベテラン。10日付では「早稲田大学入学のころ」の説明つき写真が掲載。昭和21年(1946)合格。最初は文学部国文科だったが「歌舞伎の研究で知られる河竹繫俊先生がおられた」と芸術科へ転科したとか。橋田さんは当時「歌舞伎が面白くて、築地の『東劇』の3階席に陣取り、同じ演目を月に3回も見たことがある」くらい傾倒。2年生の時、クラスメートの斎藤武市さん(松竹入社後、日活へ。小林旭主演「渡り鳥」シリーズ監督)が「月給をもらって脚本の勉強をさせてくれるんだって」と言ってきたという。(つづく)
私の履歴書・橋田壽賀子①
