68年前の3月21日は、わが国初のカラー映画が公開された日。当時は総天然色と言って宣伝ポスターにも大きく書かれた。富士写真フイルムを使い国産第一号。松竹大船撮影所作品「カルメン故郷に帰る」で、木下恵介脚本・監督作品。主演は高峰秀子で、都会のストリッパーに扮し、故郷の上州北軽井沢の浅間山へ帰って大騒動を起こすコメディー仕立て。コンビの踊り子に小林トシ子、笠智衆、佐野周二、佐田啓二から井川邦子、坂本武、三井弘次ら松竹オールスター。総指揮高村潔、製作月森仙之助、撮影楠田浩之、音楽木下忠司・黛敏郎の名前が並ぶ。初のカラー映画は、被写体に対しものすごい光量を必要とした。高峰の頭から煙がのぼったという記述が「わたしの映画渡世」(新潮文庫など)にある。
「松竹百十年史」によると、カラーフィルムが12本、白黒フィルム14本とある。カラーは東劇はじめ東京や大阪で上映され、地方は白黒で公開された。
木下監督は全作品を16㍉フィルムにして所蔵。遺族が京都府立京都文化博物館へ寄贈した。白黒作品はカラー撮影が終わって、撮影したもの。筆者が平成12年、所蔵作品目録から発見。映像鎌倉の川又昂代表取締役(「砂の器」などの名撮影監督)へ連絡し、16㍉から35㍉にブローアップし松竹が保存している。
3月21日は、カラー映画の日
