コラム|「映画極道 五社英雄」

徳間書店から「映画極道 五社英雄」(五社巴著。1700円+税)が出た。現在、東京・浜町の明治座で4日まで「とんち尼将軍 一休ねえさん」公演中の友近(水谷八重子名義で主演)が「ゴシャゴシャ言わんと読まないかんぜよ」と激賞、話題になっている。著者の五社巴さんは五社英雄監督(一九二九-一九九二)の長女。晩年の撮影現場には巴さんの姿があった。身近で一番よく知る人。本の表紙は仁王立ちする撮影中の五社監督で、「よーい、スタート」のかけ声が頭の中で甦った。
テレビディレクター時代「三匹の侍」など数々のヒット作を生み、前期は劇場版「三匹の侍」はじめ話題作を連発。後期は京都に腰を据えて東映京都撮影所で「鬼龍院花子の生涯」「陽暉楼」「北の蛍」「吉原炎上」をヒットさせた。五社プロダクションを作り松竹と提携して「薄化粧」「十手舞」、遺作は「女殺油地獄」で、枯淡の境地だった。「薄化粧」(85)は四国・愛媛県でロケし、筆者は大阪映画記者会の一員として参加、取材。夜は奥道後の温泉旅館で監督が記者全員にビールをついで回ったあとは大宴会となった。京都では「博奕打ち 総長賭博」の山下耕作監督(一九三〇-一九九八)が「ヤツの方が年上なのに“兄貴”と呼ぶんだよ」と苦笑しながらうれしそうに言っていたことを思い出した。

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