東の東京急行電鉄(髙橋和夫社長)と西の阪急電鉄の持ち株会社・阪急阪神ホールディングス(杉山健博社長)。両社ともターミナルデパートを持ち、沿線の住宅開発に乗り出したことは鉄道好きならずともご存知の通り。「週刊現代」2月16日・23日合併号はグラビア特集で「渋谷と東急を作った男 五島慶太」をくわしく紹介している。
それぞれの創業者五島慶太翁(1882-1959)と小林一三翁(1873-1957)はいわば弟子と師匠の間柄。一三翁は山梨県生まれ。慶應義塾から三井銀行入りし、1907年(明治40年)設立の箕面有馬電気軌道の専務となった三年後、開通した現在の阪急宝塚線池田駅前に住宅を開発、乗客に今でいう住宅ローンで分譲販売した。梅田駅には阪急百貨店を開業し、29年世界で初めてターミナルデパートを作った。慶太翁は長野県生まれ。旧姓小林。東京帝国大から教員を経て鉄道院入り。東急の前身となる武蔵電気鉄道(東横線)常務や荏原鉄道(目蒲線)専務となる。同時に後の田園調布を開発する田園都市会社も経営するが、うまくいかず紹介されたのが一三翁。慶太翁は一三翁の教え通りに鉄道と沿線開発やターミナルデパート進出と、現在の言葉でいえばM&Aの先駆けとして活躍していく。(つづく)
小林一三翁と五島慶太翁①
