コラム|小津の記録映画「鏡獅子」

12月12日に命日を迎える小津安二郎監督(一九〇三‐一九六三)は、生涯54本の映画を残した。2012年、英国映画協会(BFI)の映画専門誌「サイト・アンド・サウンド」は10年に一度過去に公開された世界の映画ランキングを発表しているが、「東京物語」(53年・松竹大船)がベストワンに輝いている。作られたのは昭和28年、戦後8年。一家まとまって生きていこう――の時代に、家庭崩壊を描き、父親役の笠智衆が戦死した二男の嫁紀子(原節子)につぶやく。「妙なもんじゃ。自分が育てた子供より、いわば他人のあんたのほうがよっぽどわしらにようしてくれた。ありがと…」。男と女を描く映画より家族関係、いや人間関係を描いて世界映画一位となった。          
そんな小津監督にドキュメンタリー映画の作品があるのをご存じだろうか? 「鏡獅子」。わずか24分という短編ながら小津調であふれているもの。六代目尾上菊五郎が戦災で焼ける前の第四期歌舞伎座で撮影された。楽屋から舞台にかけて丹念に撮影している。当時の国際文化振興会が小津監督に依頼し「構成だけ依頼」が監督することになった。原版は、松竹大谷図書館に所蔵されている。国立映画アーカイブ所蔵の22分上映フィルムより2分長い、4Kバージョンでのデジタルレストレーション版を見てみたいもの

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