コラム|小津「東京暮色」の再評価

今夏、大好評だった生誕115年記念企画「小津4K 巨匠が見つめた7つの家族」(配給松竹メディア事業部・KADOKAWA)。11月2日?から15日?まで角川シネマ有楽町でアンコール上映が決まった。先週はNHK-BSプレミアムでデジタル修復版の「お茶漬の味」「早春」「東京暮色」が放送。「小津4K」では、この3本に「晩春」「麦秋」「東京物語」「浮草」をすべて4K上映。前回、43年ぶりに「東京暮色」を再見。それまでの世評通りに自分自身のランキングでも低評価だった。自作を語るの「キネ旬19位だからなあ」に惑わされていたからだ。結婚して子供が生まれ、バツイチになり、初めて「東京暮色」がわかった、ような気がする。若い時分では家族関係、特に親子関係はどうにも興味がなかったというのが正直な気持ち。
「東京暮色」は、ある都市銀行の監査役一家が主人公たち。父親と娘二人。姉は目の前に夫婦の危機、妹は恋人との別れが迫る。そこに生き別れの母親が現れて…。笠智衆、原節子、有馬稲子に山田五十鈴という贅沢な配役。撮影の際、「ぬくもりだの暖かさだの、そんなのはゴマカシですよ。僕は人生の本当の姿を描きたいんです」と小津安二郎監督は語った。「晩春」や「麦秋」と違う小津調ではあった。