現在、NHK-BSプレミアムで日本映画の名作を連日放送中。10月8日体育の日は東宝「隠し砦の三悪人」(昭和33年)、9日は東宝・黒澤プロ「天国と地獄」(同38年)が放送された。両作とも黒澤明監督作品。筆者が高校1年生の時「天国-」と出会った。靴メーカーの重役が誘拐事件に巻き込まれる話で、ファーストシーンの権藤邸からラストシーンの刑務所面会室まで余分な場面はひとつもなく「これぞ映画!」と思った。数年後、ステレオ音響で見て、室内から屋外へ出る場面転換や雑踏の音の演出に感嘆した。
「隠し砦-」は「七人の侍」以降、暗い作品が続き、初のシネマスコープ1:2・35画面で撮った娯楽時代劇。戦国時代、敗軍の侍大将が姫と軍用金を2人の農夫を使い敵中突破する痛快譚。いずれも主役は三船敏郎。ジョージ・ルーカス監督は「スター・ウォーズエピソード4/新たなる希望」(77年)を構想中に、この作品から着想し作り上げたのは有名なエピソード。農夫凸凹コンビがC-3POとR2-D2に。冒頭、砂漠場面とラストの報奨授与式はほぼオリジナルのまま使われた。音楽佐藤勝のマーチはスティーブン・スピルバーグ監督の「インディ・ジョーンズ」マーチとよく似ている。両監督は訪日の度に会い「クロサワ先生」と呼び、終生慕った。
黒澤明監督作品の2本
