コラム|小津4K「東京暮色」修復版

新宿ピカデリーと角川シネマ新宿で開かれた「小津4K 巨匠が見つめた7つの家族」(配給松竹メディア事業部/KADOKAWA)。名作は見るたびに新しい発見があるーーという思いがある。そんな中でも「東京暮色」は学生時代に、浴びるように見た映画で一度見ただけで約40年ぶり。世間の評価と同じく暗いと作品だとばかり思っていた。松竹のCS放送・衛星劇場で見ていたが、4K上映で見ると、一段と鮮明で細かいところまできちんと映っている。五反田の風景は同じアングルと思っていると、微妙に変えている。セリフのひと言にも意味があるのかと反芻して覚えた。先日、有馬稲子さんのトークショーを聞き「若い有馬稲子もいいでしょう!」と観客に問うと拍手が起きた。
有馬、原節子、山田五十鈴、杉村春子の四大女優共演はもちろん、笠智衆、中村伸郎、藤原釜足、信欣三、宮口精二、山村聰ら男優陣に、浦辺粂子、三好栄子や長岡輝子は当たり役の家政婦富沢さんの女優陣はオールスター。俳優ばかり書いたが、お語は出奔した妻に取り残された銀行監査役と娘2人の物語。悲惨な話ばかりと思っていたら、高橋貞二が当時流行していた野球解説者小西得郎の口調を真似ているなど社会風俗を描かないといわれたのにちゃんと描いているんだなと感心した。

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