空の見える日本橋

東野圭吾原作の人気シリーズを映画化した阿部寛主演の東宝配給「麒麟の翼~劇場版・新参者~」(監督土井裕泰)が公開されたのは、2012年(平成24年)。冒頭、中井貴一扮する企業の幹部社員が東京都中央区の日本橋上、ナイフで刺されたまま死ぬ。阿部は日本橋警察署の警部補。日本橋づくしなのだが、その日本橋――前回の1964年(昭和39年)東京オリンピック前に首都高速道路が開通し橋をふたするように覆ってしまった。
このほど、近くを走る首都高八重洲線を活用し地下を通ることになり、景観改善の面から地元の要望が強かった五街道の起点「空の見える日本橋」がようやく実現する運びとなった。映画では、橋の上にあった青銅製の麒麟が印象に残ったが、橋の銘板の揮ごうは「最後の将軍」徳川慶喜公。日本橋の題名がつく映画は、すべて泉鏡花原作。29年(同4年)の溝口健二監督版は現存せず、56年(同31年)の市川崑監督版(大映東京=KADOKAWA)、「麒麟の翼」と同じ年に公開されたシネマ歌舞伎・坂東玉三郎主演版(松竹)の二本。大映版は日本橋生まれの淡島千景、山本富士子、若尾文子らが出演する豪華な顔ぶれ。

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