コラム|「東京暮色」修復版を見る

松竹グループのCS放送・衛星劇場で5月1日、小津安二郎監督の「東京暮色」4Kデジタル修復版をテレビ初放送。ハイビジョン放送で見た。これまでの画像・音響に比べ格段の修復がなされ、あまりのきれいさに息をのんだ。140分という長尺にためらいもあったが、久しぶりの再会は驚きの連続だった。原節子、有馬稲子、山田五十鈴(唯一の小津映画!)、杉村春子の共演はひとコマも見逃せないほど。主役は小津監督の言葉を借りれば「これは若い人の無軌道ぶりを描いた作品だと言われるが、ぼくとしてはむしろ笠(智衆)さんの人生――妻に逃げられた夫が、どう暮らして行くかという、古い世代の方に中心をおいてつくったんです」(自作を語る)。
何回見返しても、次女(有馬)中心の進行となっており無理はあるが、話の展開に父親が絡み納得ではある。またラスト近く母親が旅立つ上野駅の寂寥感は絶品。次作「彼岸花」からカラーなので白黒作品の惜別名場面。音楽は「東京物語」からのコンビ、斎藤高順氏。監督命名の「サセレシア」がタイトルバックはじめ全編に流れ、ラストシーンにも変奏される。家族バラバラの時代にこそ見てもらいたい一本である。10日と28日再放送あり。