コラム|二つのシネマ・コンサート(つづき)

もうひとつの松竹「砂の器」シネマ・コンサートは先週末の22日(日)NHKホールで開かれた。昨年八月の初演は大反響を呼び、再演の声が高まっていた。映画は1974年、松本清張現在、橋本忍・山田洋次脚本、撮影川又昴、芥川也寸志音楽監督、菅野光亮作曲、野村芳太郎監督作品。第一部紙吹雪の女、第二部宿命。2005年のデジタルリマスター版上映。今回は近藤嘉宏ピアノに日本フィルハーモニー交響楽団。初演でスコアの再生編纂と指揮した和田薫氏が再びタクトを振る熱演だった。第一部は殺人事件の現場から捜査のはじまり、物語の核心ともいえる犯人捜しは第二部へ。そしてシネマ・コンサートの醍醐味といえるフルオーケストラの演奏が40分にもわたって画面と同時進行で続く。画面を食い入るように見る観客もいれば、和田氏や「宿命」演奏を見続ける熱心な観客もいて会場は熱気に包まれた。忘れてはいけないのが、出演者たち。丹波哲郎扮する事件を追う警視庁警部補、森田健作(現千葉県知事)刑事の熱演が心に響く。緒形拳はもちろん寅さん・渥美清の映画館支配人が名優ぶりを見せた。また、随所に橋本氏や芥川氏らスタッフがエキストラ出演しており探すのも楽しかった。(おわり)