朝日新聞朝刊の文化・文芸欄に女優・岡田茉莉子さん(85歳)のロングインタビュー「語る-人生の贈りもの-」(全14回)が4月13日付で完結した。父は戦前の松竹スター岡田時彦、母は宝塚スター田鶴園子。父の時彦は小津安二郎監督のサイレント映画に多数主演した。岡田は小津監督晩年の「秋日和」(60)「秋刀魚の味」(62)に出演。「秋日和」は劇中キャメラは固定、フェードイン・フェードアウトなど光学処理が一切なしの小津スタイルが確立した作品。岡田の役はヒロイン司葉子の親友OL。酒に酔って何度もしゃっくりする演技で小津監督を笑わせた。「秋刀魚-」はヒロイン岩下志麻の兄嫁役。小津監督は撮影中「お嬢さん」と呼び、1回もダメ出しをしなかったと語る。
岡田は小津監督に「これまで監督の作品に出た俳優で、誰が四番バッターですか」と聞くと、迷わず「杉村春子」と言い、「お嬢さんは一番バッターだよ」と。時は流れ、病床の小津監督を夫の吉田喜重監督とお見舞いに行き「親子二代、ありがとう」と感謝され、後輩の吉田監督には「映画はドラマだ。アクシデントではない」と繰り返し話したという。
小津映画の岡田茉莉子
