俳優・近藤正臣、74歳。彼のファンであれば、最近のNHK『真田丸』『あさが来た』などにおける、シニア役で好演する近藤を応援しているだろう。若い人たちにはあまりなじみの薄い演技者だが、プロデューサーの能村庸一氏は、『たとえば近藤正臣さんは、エキストラから始まって、下積みがすごく長かった。「柔道一直線」(1969~71年、TBS)でようやく大きな役がついたんだけど、これは子供むけの作品だったので、本人としては忸怩たるものがあって、「川の向こう側の世界」があるんだけれども、自分はずっとその手前に居続けているという意識があったそうです。そして、「誰かの力がなければ、その川を渡ることができない」とも。近藤さんは「自分を川の向こうに渡してくれたのは木下恵介監督だった」とおっしゃっていました。木下監督によるテレビドラマ「冬の雲」で、“大人の役者”として脱皮しています』と書いている。BS朝日の「ザ・インタビュー~トップランナーの肖像~」で、俳優歴55年の近藤にインタビューしたが、彼は『一度もプロになったという気はありませんね』と言っていた。(続く)
近藤正臣の55年(SAMPLE)
